はじめに

はじめに ●TITAN  ●音の世界 ●オンケン・スピーカーユニットのコンセプト

TITAN

 1967年の発足当初から、オンケンのユニットは全製品チタン振動板で出発いたしました。
オンケンの音は「チタンの音」として知れ渡りました。
チタンの比重は、アルミ等の約倍ですが強度は何十倍もあって、今まで50ミクロン以下では強度不足で使い物にならなかったアルミ系振動板の半分23ミクロンで作ることが出来ました。振動版の材質が持つ固有の音色を最小に押さえる為には、振動板を極力薄くすることでトランジェントや、音の抜け、音の艶、といったホーン本来の使命を達成できるという利点もありました。

 そのチタン振動板が使えるようになるまでの大変さは、ここでは割合しますが試作試聴した振動系はミカン箱二つにもなりました。
金属チタンは、砂鉄から抽出します。砂鉄中の酸化チタンを濃縮し、これを塩素化して四塩化チタンに変え、次に真空容器中で四塩化チタンをマグネシウム還元して、チタンを作ります。クロール博士のクロール精錬法です。

 ダイヤフラムには、純チタンを使用します。99.9%のスリーナインと呼ばれる高純度箔を、更に表面をつるつるの鏡面仕上げします。チタンはスプリンクの様に硬くそのままでは成型できませんので焼鈍をします。チタンは真空中でしか焼鈍できません。人工で作る事の出来る真空度−6乗の真空炉に、タンタルのゲッター材と共に600度の高温で焼鈍します。
 これより沙希は神頼みで、鏡面仕上げの箔は熱膨張で融着しやすくコイル巻きした箔がくっつきあって一枚の板状になってしまう事もしばしばで、歩留まりの悪い費用と時間がかかる大変な仕事なわけです。

 こうして出来上がった振動板は、見た目では分かりませんが硬いチタンですのでドームの形が一枚一枚、微妙に違います。磁気回路に取り付けの際これが一番大変なのですが一枚一枚の振動板のカーブにイコライザーをぴったり合わせこまなければ性能が発揮できませんから、何十回となくイコライザーを削ったり、磨いたり、して丹念に合わせ込みます。その都度振動板はキチンとネジで締めて振動板と、イコライザーのギャップを均一になる様に削り磨きます。大変な時間と根気の作業です。

4 VOIES
左の写真は、TITAN振動板
中音23ミクロンとトィーター8ミクロン振動板